人間の知性
です。
ちょっと抽象的に聞こえるかもしれません。
でも、これはかなり大事です。
2026年の東大、九大、慶應あたりを見ていると、AIそのものというより、
・人間はどうやって世界を見ているのか。
・AIは本当に理解しているのか。
・言語は人間の思考に影響するのか。
・科学者の判断は本当に客観的なのか。
・人間の記憶や注意力は、環境によってどう変わるのか。
このあたりが、かなり出ているんですね。
で、たぶんこれは2027年入試でも引き続き重要になると思います。
予想なので外れたらごめんなさい。
ただ、かなり出やすいテーマだと思います。
なぜかというと、今の社会そのものが、AI、情報過多、SNS、注意力、言語、認知、科学の信頼性みたいな問題に直面しているからです。
大学側も、ただ英単語を知っているか、構文が取れるかだけではなくて、
現代的な知的テーマを、英語で読めるか
を見てきている感じがあります。
今回は、
参考書だけでは読めない難関大英語
というテーマで、2026年入試に出た「人間の知性」という共通傾向を解説していきます。
もくじ
難関大英語は、単語と構文だけで終わる試験ではない
まず最初に言いたいのは、
難関大英語は、単語と構文だけで終わる試験ではない
ということです。
もちろん、単語と構文は大事です。
これは大前提です。
単語がわからない、構文が取れない状態で、背景知識だけあっても読めません。
ただし、難関大の英語になると、
・単語は一応わかる。
・構文も一応取れる。
・でも、文章全体で何を言っているのかがつかめない。
こういうことが起こります。
なぜか。
それは、本文のテーマ自体が抽象的だからです。
たとえば、
・AIは画像を認識できる。でも、それは人間が「見る」ことと同じなのか。
・言語はただの道具なのか。それとも、人間の考え方そのものに影響するのか。
・科学は客観的なものなのか。それとも、科学者も人間である以上、判断にバイアスが入り込むのか。
こういう話は、単語を日本語に置き換えただけでは読めません。
本文の中で、何と何が対比されているのか。
筆者はどの立場を否定しているのか。
どの考えを部分的に認めているのか。
最終的にどこに着地しているのか。
ここまで読まないと、点数になりにくいです。
つまり、難関大英語では、
英文を訳せるか
だけでなく、
英文を通して、筆者の思考を追えるか
が問われています。
これが、参考書だけでは読めない、という言葉の意味です。
AI時代だからこそ、人間の知性が問われている
では、2026年入試でどんな共通傾向があったのか。
一言で言うと、
AI時代だからこそ、人間の知性が問われている
ということです。
これはかなり面白いです。
今の時代、「AIがすごい」という話はどこでも出てきます。
ChatGPTもそうですし、画像認識AIもそうですし、翻訳AIもそうです。
でも、大学入試の英語で本当に狙われやすいのは、
AIはすごいですね、便利ですね。
という単純な話ではありません。
むしろ、
・AIと比べたとき、人間の知性は何が特殊なのか。
・AIにできることと、人間にしかできないことは何が違うのか。
・そもそも「理解する」とはどういうことなのか。
ここが狙われます。
「見ること」と「理解すること」は違う
たとえば、画像を見るという行為があります。
人間は犬の写真を見たら、すぐに「あ、犬だ」とわかります。
でも、これは実はめちゃくちゃ高度な処理です。
ただ色や形を見ているだけではありません。
・これは生き物だ。
・これは犬だ。
・この犬は怒っているのではなく、楽しそうだ。
・この写真はたぶん公園で撮られたものだ。
・飼い主が近くにいるかもしれない。
こういうふうに、人間は目に入った情報を、意味のある世界として組み立てています。
つまり、
seeing、見ること
と、
understanding、理解すること
は違うんです。
ここが難関大英語で非常に狙われやすいところです。
そして、これは英語長文を読むときにもそのまま当てはまります。
・単語は見えている。
・文法も一応わかる。
・でも、本文の核心がつかめない。
これは、英文を見ているだけで、理解していない状態です。
難関大英語で差がつくのは、ここです。
人間は世界をそのまま見ているわけではない
次に大事なのが、
人間は世界をそのまま見ているわけではない
という話です。
これも東大や京大、慶應文学部のような抽象度の高い英文で非常に出やすいです。
私たちは、世界をカメラのようにそのまま写しているわけではありません。
目の前にあるものを、
- concept
- relation
- representation
- framework
- category
こういう枠組みで理解しています。
たとえば、「机」があるとします。
でも、机は単なる木や金属のかたまりではありません。
・勉強する場所。
・仕事をする場所。
・食事をする場所。
・物を置く場所。
こういう意味を、人間が与えています。
さらに、「関係」もそうです。
・親子関係。
・因果関係。
・対立関係。
・社会的関係。
・言語と思想の関係。
これらは、物理的に目に見えるものではありません。
でも、人間はそれを読み取ります。
ここが難しいんです。
英文の中で、
- relation
- representation
- concept
- notion
- framework
- apparatus
こういう単語が出てきたときに、ただ日本語訳だけを覚えている受験生は苦しくなります。
relation は「関係」。はい、終わり。
ではダメなんですね。
・何と何の関係なのか。
・その関係は自然に存在するものなのか。
・それとも人間が作り出しているものなのか。
・その関係を認識することで、筆者は何を言いたいのか。
ここまで読まないと、難関大の抽象英文は読み切れません。
だから、抽象語は単語帳で覚えるだけでは足りません。
本文の中でどう働いているかを見る必要があります。
言語は思考に影響するのか
次に、慶應文学部などで出やすいのが、
言語は思考に影響するのか
というテーマです。
これもめちゃくちゃ重要です。
いわゆる Sapir-Whorf hypothesis、ウォーフ仮説系の話です。
簡単に言うと、
自分が使っている言語によって、世界の見え方や考え方は変わるのか
というテーマです。
たとえば、日本語には「よろしくお願いします」という表現があります。
英語にそのままピッタリ対応する表現は、なかなかありません。
逆に英語には、
- privacy
- agency
- accountability
- autonomy
みたいな単語があります。
これらは日本語に訳すと、文脈によってかなり意味が揺れます。
privacy は「プライバシー」だけで済む場合もありますが、個人の領域、他者から干渉されない権利、私的空間、みたいな意味を含むことがあります。
agency も「代理店」ではなく、自分で行動し、決定する力、という意味で出ることがあります。
autonomy も「自律性」だけでなく、自治、自己決定権、外部から支配されない状態、という意味で出ることがあります。
つまり、言語はただのラベルではないんですね。
言語は、世界の切り分け方に関わっています。
ただし、ここで注意が必要です。
難関大英語でよくあるのは、極端な主張ではありません。
「言語が思考をすべて決める」
みたいな強い主張は、だいたい批判されます。
一方で、
「言語は思考にまったく影響しない」
という単純な話にもなりません。
最近の英文で多いのは、
言語が思考を完全に決定するわけではない。
しかし、言語が私たちの注意の向け方や、世界の分類の仕方に影響することはある。
このくらいの、バランスの取れた主張です。
ここが読めるかどうかが大事です。
難関大英語では、
・Aではない。
・しかし、Bでもない。
・むしろCである。
こういう展開が本当に多いです。
だから、賛成か反対かだけで雑に読んではいけません。
・どの主張を否定しているのか。
・どの主張を部分的に認めているのか。
・最終的にどの位置に着地しているのか。
これを見る必要があります。
科学者もバイアスから逃れられない
次に、科学系の文章です。
これは東京科学大学や名古屋大学、医学部系の英語でも非常に重要です。
テーマは、
科学者もバイアスから逃れられない
という話です。
科学というと、客観的で、冷静で、事実だけを見るものだと思われがちです。
もちろん、それが科学の理想です。
ただ、実際の科学者も人間です。
・期待。
・先入観。
・研究費。
・所属機関。
・過去の成功体験。
・自分の仮説を正しいと思いたい気持ち。
こういうものから完全に自由ではありません。
ここで重要なのが、
- bias
- assumption
- hypothesis
- evidence
- interpretation
- objectivity
- subjectivity
このあたりの語です。
特に bias は、ただ「偏見」と訳すだけでは弱いです。
文脈によっては、
・認知の歪み。
・判断の偏り。
・先入観。
・実験結果に入り込む期待。
・無意識の思い込み。
こう訳した方が自然なことがあります。
ただし、ここでも単純化してはいけません。
「科学者にもバイアスがある。だから科学は信用できない」
という話ではありません。
むしろ、
・人間にはバイアスがある。
・だからこそ、科学はそれを抑える仕組みを作ってきた。
・ただし、その仕組みも完全ではない。
・だから、データ、方法、証拠、解釈を丁寧に見る必要がある。
こういう話になりやすいです。
これも難関大英語では非常に出しやすいです。
なぜなら、設問にしやすいからです。
・下線部和訳にもできる。
・内容説明にもできる。
・具体例の役割を問える。
・筆者の主張を選ばせることもできる。
・自由英作文にもつなげられる。
だから、科学論、認知バイアス、客観性の限界は、難関大志望者はかなり注意した方がいいです。
現代の環境が、人間の知性を変えている
ここで、もう少し広げると、名古屋大学や一橋大学にもつながります。
2026年の名古屋大学では、睡眠が記憶に与える影響や、科学論文の量と質の関係が扱われています。
これはまさに、人間の学習、記憶、知識生産の話です。
一橋大学では、「時間がかかることを許容できないせっかちな現代人」というテーマが出ています。
本文では、読書を自分から中断したがる理由や、現代人の impatient さがポイントになっています。
これも、実は同じ流れで見られます。
つまり、
現代の環境が、人間の知性を変えている
という話です。
・SNS。
・スマホ。
・タイパ。
・情報過多。
・短い動画。
・すぐ答えが出る検索。
・AIによる要約。
こういう環境に慣れると、人間は待てなくなります。
・長い文章を読むのがつらくなる。
・結論を急ぐ。
・複雑な議論に耐えられない。
・途中で読むのをやめてしまう。
これは受験生にとってもかなり身近な話だと思います。
皮肉なのは、受験英語では速く読まないといけないのに、入試英文の中では、
「速さばかり求める現代人は、深く考える力を失っていないか」
という文章が出てくることです。
これ、かなり大学入試っぽいです。
・速く読まないといけない。
・でも、速さだけでは読めない文章が出る。
この矛盾が難関大英語です。
だから、ただ速読だけやってもダメです。
精読も必要です。
構文も必要です。
語彙も必要です。
背景知識も必要です。
そして、筆者の論理を追う力も必要です。
受験生は何をすればいいのか
では、受験生は何をすればいいのか。
ここが一番大事です。
結論は、
単語と構文をやった上で、頻出テーマの「考え方の型」を覚える
ということです。
背景知識というと、専門的な知識をたくさん暗記するイメージがあるかもしれません。
でも、大学入試で必要なのは、専門家レベルの知識ではありません。
必要なのは、
「あ、この話はあのパターンだな」
と気づけることです。
たとえば、AIと視覚認識の文章なら、
これは「見ること」と「理解すること」の違いの話だな。
言語と思考の文章なら、
これは「言語が思考を決定するのか、それとも部分的に影響するのか」という話だな。
科学者のバイアスの文章なら、
これは「科学の客観性と人間の主観のズレ」の話だな。
SNSやタイパの文章なら、
これは「現代の情報環境が人間の注意や思考を変えている」という話だな。
このように、テーマの型が見えるだけで、英文はかなり読みやすくなります。
もちろん、単語と構文ができていないと読めません。
そこは大前提です。
ただ、難関大では、単語と構文だけで押し切るには、本文の抽象度が高いことが多いです。
だから、
・精読。
・構文把握。
・語彙。
・背景知識。
・論理展開の把握。
この5つを組み合わせる必要があります。
覚えておきたい重要語
ここで、特に覚えておくといい語を少しだけ挙げます。
recognize
これは「認識する」ですが、ただ見るのではなく、「それが何であるかを理解する」というニュアンスがあります。
perception
知覚です。目や耳から入った情報を、人間がどう受け取るか。
representation
表象、表現、心の中での再現。東大系の抽象英文ではかなり重要です。
concept
概念。具体的な物ではなく、人間の頭の中で整理された考え。
relation
関係。ただの「関係」ではなく、ものともののあいだに人間が見出すつながり。
bias
偏見、先入観、判断の偏り。科学論や社会科学系で頻出です。
assumption
前提、思い込み。筆者が批判する対象になりやすいです。
framework
枠組み。ものの見方、考え方の土台。
こういう単語は、単語帳で訳語を覚えるだけでは弱いです。
本文の中で、何のために使われているのかを見る必要があります。
まとめ:2027年入試でも「人間の知性」は要注意
最後にまとめます。
2026年の難関大英語を見ていると、かなりはっきりした流れがあります。
それは、
AI時代だからこそ、人間の知性が問われている
ということです。
・AIは画像を処理できる。でも、人間のように理解しているのか。
・人間は言語を使う。でも、言語は思考にどこまで影響しているのか。
・科学者は客観性を目指す。でも、人間である以上、バイアスから完全には自由ではない。
・現代人は効率を求める。でも、その結果、深く考える力を失っていないか。
こういうテーマが、難関大英語ではかなり出ています。
なので、2027年入試を受ける人は、
・AI。
・人間の認知。
・言語と思考。
・科学の客観性。
・SNSと注意力。
・記憶と学習。
このあたりの英文に触れておくと、かなり強いと思います。
英語長文は、単語を日本語に置き換えるだけの科目ではありません。
英文を通して、現代の知的テーマを読む科目です。
ここに気づけると、勉強の仕方がかなり変わります。
このチャンネルでは、今後もこういう形で、
難関大英語に頻出する背景知識
を、実際の過去問や参考書とつなげながら解説していこうと思います。
次回は、科学と文明、あるいは、SNSと現代人の集中力、このあたりを扱っても面白いかなと思っています。